月日の経つのは本当に早いものです。「あおはにの会」が「社会福祉法人 青葉仁会」になってから30周年を迎えました。これまで本当に多くの方々にご協力頂いた事に感謝すると共に、青葉仁会での過ぎた日々をしみじみと感じるところです。
思えば、社会福祉施設での勤務経験もなく、社会福祉法人制度すらも分からずにただ、教員として障害のある生徒達が卒業後に出る場所があり、する事があり、普通に暮らす事ができれば、との思いから始めた事でした。30数年前は、多くの障がいがある方々にとって、学校にいた期間こそが社会参加であって、卒業と同時に行き場を失い、行政の措置がなければ福祉施設を利用することも困難でした。従って、結局は在宅を強いられ、社会から孤立してしまう方が大勢おられた時代でもありました。
30数年の月日で何よりも思うのは、1980年「あおはにの会」立ち上げ当時、8名いた仲間のうち、今なお私を含めて5名の職員が元気に青葉仁会で活躍していることです。その5人もそれぞれに、指折り数えてあと何年と胸の内で思っている事でしょう。しかし彼らには、この30周年の機会にこそ、もとの「始まりが何であったか、どの様に取り組んで来たか、どんな出来事があったか、忘れられない人達や出来事・・・」などをこれからも続く人たちに伝えてほしいものです。伝統とは語り継がれることにより築かれ、ぶれることのない未来を指し示していくのではと思います。そして次の時代もまた、30数年を共にする仲間たちに恵まれる豊かな組織であってほしいと願うばかりです。
またその組織も、今では300名を超える職員に恵まれ、生活支援、就労継続支援、地域生活支援に結束して取り組み、他にない魅力づくりに研鑽しています。その積み重ねは、今回の新型コロナウィルス対応の苦難のなかでも、感染症対策で制限された地域の生活環境での食を支えるため、お惣菜や常備しておけるレトルト食品などを通して如何なく発揮されました。コロナ禍では、皆さま同様に我々も大変な思いをしておりますが、他方で【共生社会】の実現に向けてのはずみとなりました。
30年という月日のなかで、これまで障がい者支援事業に特化してきた道のりが今日の利用者の社会参加や希望に、そして地域の人々の幸いにつながっているなら支援者としてこの上なく幸いと存じます。我々一同だけでなくこれ迄、青葉仁会の活動を支えて下さった方々にも感謝の気持ちをこの機会にお伝えすることができれば何よりです。
これで青葉仁会は完成した、と言うわけではありません。足元を見れば、施設の老朽化や、より支援が必要な方々への対応、地域の高齢過疎化、それに伴う支援や社会状況の変化に合わせた活動の転換など・・・待った無しの状況下にあります。この度30年の節目に、本部・杣ノ川の近くにある五年前に廃校となった小学校を取得いたしました。今までにない可能性を広げこれらの課題解決の一助になればと思います。今のところ、ここでの第一期の事業として、就労支援ではレトルト食品の加工場、またそれに伴う地域の農産物の加工場を考えています。たくさんある教室をそのまま活用し、自立支援事業による社会教育の場なども併せて計画しているところです。運動場や体育館を使った活動や地域イベント、自然豊かな地域で子供たちの自然体験など、多様な活動拠点として社会に役立てるよう青葉仁会のご利用者の益々の活躍を願いながら進めていくことで、設立30年のひとつの節目になればと計画しているところです。今後とも、皆さまのご支援のほど宜しくお願い申しあげます。
新型コロナウィルスが圧倒的な感染力をもって広がっている中、皆様がたのご健康をお祈りいたします。
社会福祉法人 青葉仁会 理事長 榊原 典俊